第三回「車両を作る、後編」


さて、第二回では『我武者羅に車両を描く。描いて描いて描きまくれ』って言いたかったのだが、

ここからは第一回の内容も含めて少し、『あ、ここの架空鉄道っぽい』『この人の車両っぽい』と言われる様な車両を作るようにしていこう。

 

第三回では形を、第四回では色を重点的に話していく。


①なぜそんな形なのか?

まず最初に話しておきたいのが、

「なんでそんな形なのか?」を考えていく。

 

電車の形もひとえに「かっこいいから!」そんな形にはなっていない。

その造形には必ず「理由」が発生する。そこを紐解きながら新型車両を考えるのはどうだろうか?

では早速。

なんで車両がそんな形なのだろうか?

 

特徴的なものや私の知り得た部分も含めてではあるが、紹介しよう。

まず、以下の形式はそれぞれの事情もあって、そうなっている。


JR東日本E259系 成田エクスプレス(Wikipedia参照)

E259系など、最近のJR東日本、JR北海道の特急型に顕著に見受けられるのが乗務員対策による高運転台。さぞ、昔の月光型のように運転室を屋根より飛び出した様な形状は、踏切事故などの乗務員スペースへのダメージを下げる効果が期待できる。


小田急50000形 (Wikipedia参照)

小田急50000形の連接台車、展望車は小田急3100形からの伝統を引き継いだ結果である。

小田急が最初に連接台車を世に出したのが小田急3000形。新宿~小田原を60分台で結ぶ計画の中で、低重心、車体重量を減らし、より高速で走らせる車両の研究の結果である。そんな3000形が好評で小田原輸送の増加の為に製造したのが3100形。行楽地輸送を目的とした展望席の登場。その系譜を引き継ぎ、今に至る。


JR九州305系 (Wikipedia参照)

The通勤形の様な305系。地域とデザインに生きるJR九州の筑肥線用車両。

日立製作所の車両独特の先頭車の運転台部分の妻板には接続部の様な溝があるのだが、そこにもデザインを行うなど、出来てしまった部位にも処理を行う徹底したデザイン。

オーソドックスな車体が模様や塗装で変わる例ではある。


西鉄6050形 (Wikipedia参照)

同じ九州の私鉄、6050形。VVVFインバータ搭載のこちらもThe通勤型でThe西鉄の顔だが。左右非対称。

運転士側のみ側面まで回り込んだ窓なのは、運転士が風景を楽しみたいとかではない。

視界確保の為にこの様な形状をしている。西鉄の6000形が登場するまでは実は視界性には少々難があると言われており、その結果、6000形以降からは運転士側が、7000形以降からは両側ともサイドまで回り込む形状になっている。この形状は全国津々浦々点在している。


東京メトロ16000系 (Wikipedia参照)

東京メトロ16000系ではなかなか面白いデザイン変化がある。

こちらはメトロ10000系同じ貫通路を真ん中にした構造で最初の5編成を製造したが、運転士側の視界が悪いとの事で急遽第6編成から貫通路を正面から見て左に寄せるデザインになった。

こうした、製造過程でデザインが異なるが同系列の車両も多数ある。


何事も、何かしらの意とがあるのが、実際の鉄道車両でも分かったと思う。

架空鉄道で車両を考える時に少しだけでも理屈や歴史を入れるのもいいかもしれない。

 

なにもデザインするから流体実験やら物理学やらを学べとは言わないし言えない。

でもなにかしらの理由、それこそ「連結を頻繁に行うので貫通路が真ん中に」これも立派な理由になる。

 

そういった理由が沢山あるとバックボーンとしてそれら車両に深みが出るのではないだろうか?

京名電鉄の大阪運輸区の車両は基本的には真ん中に貫通路を設けている。(例外もあるが…)

それこそ連結や増結が多いと言うのが単純であるが理由である。そこに阪急の様な伝統の様なパーツの配置位置も相成り、殆どの車両が似たり寄ったりになる。

 

しかし、それも一つ、味の出し方なのではないだろうか?ここまで多くなるとある種の統一感と言う味になると思われる。


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